ドライアイ
ドライアイ
ドライアイは、涙のバランスが崩れるもので、「目の表面が乾く病気」と表現されることが多いのですが、実はその言葉以上に奥の深い病気です。目の表面を守る涙液システムのトラブルで、涙の質のバランスが崩れることによって涙が均等に行きわたらなくなる病気であり、目の表面に小さな傷を伴うことがあります。社会の高齢化、エアコンの使用、パソコンやスマートフォンの使用、コンタクトレンズ装用者の増加に伴い、ドライアイ患者様も増えており、その数は2,200万人とも言われています。
また、体の中の抗体のバランスが崩れてドライアイになることもあります。
ドライアイは、コンタクトを使用したり、長時間パソコンやスマートフォンの画面を見続ける若い人が受診されることが多い病気であることは事実ですが、実はドライアイで受診する人の半数近くは50歳以上の方々です。その理由として、年齢を重ねるとともに涙をつくる機能や目の表面の粘膜が衰え、ドライアイになる可能性が高まると考えられています。
ドライアイの患者様は近年増加傾向にあると言われています。原因としてはライフスタイルの変化が挙げられると思います。パソコンやテレビ、携帯電話の画面などを見続ける生活により、知らず知らずのうちに目を酷使。注視するときには涙を行き渡らせる「まばたき」が減ることも知られています。その結果、目が疲れやすい、あるいは何となく目に不快を感じるという人が増えています。こうした症状の原因の一つとして最近注目されているのがドライアイです。
ドライアイが進行すると、視力低下や眼の痛み、角膜上皮剥離（角膜の表面が乾燥してはがれる病気）を発症してしまうこともあります。
コンタクトレンズを使用している方は、使用していない方に比べてドライアイが発生しやすい状態にあります。目がごろごろする、充血するなどの症状が出る方はドライアイの可能性が大です。
仕事で毎日パソコンを長時間使う方、特に、細かい数字や文字を扱う等、精神を集中することが多い仕事をされる方は要注意です。ネットゲームで画面を凝視している方も注意が必要です。
空調が効いたオフィスで一日中仕事をなさる方、家庭で無防備に空調や扇風機の風を顔にあてている方は要注意です。目はすぐ乾いてしまいます。
レーシックは、レーザーで角膜を削って視力を向上させる手術です。ほとんどの場合、一時的に知覚低下が生じて、合併症として術後3～6ヵ月程度ドライアイになります。ほとんどの場合、一定期間が経過すれば改善されますが、中には長期に渡ってドライアイが改善されない場合もあります。
タクシーやバス、トラックなど長時間運転する職業の方、仕事で車を使うことの多い営業職の方、ドライブが趣味の方、運転中に目に不調を感じるようならドライアイの可能性があります。
年を重ねると私たちの身体には様々な老化現象が現れ、目も例外ではありません。年齢を重ねるごとに涙をつくる涙腺の分泌機能が低下して分泌する涙の量が減ったり、また潤いを保持するシステムが衰えることが知られています。
眼科で必ず行われる最初の検査です。ドライアイがひどくなると角膜の透明性が低下し、視力低下の原因になることもあります。また、ドライアイだけでなく、他の目の疾患が見つかるきっかけになることもあります。
目の表面の傷や涙の流れを見る検査です。フルオレセインという黄～橙色の試薬を点眼すると、涙そのものと目の表面の傷のある部位が染まります。細隙灯顕微鏡で染色部を観察しながら、涙の流れ方や目の表面の傷の有無、分布や程度をチェックします。
涙がたくさん出ても、質が良くないために目の表面がすぐ乾くこともあります。涙の流れや質を調べる検査で、目を開いてから目の表面の涙の膜がなくなるまでの時間（Break Up Time）を測ります。BUTが5秒以下の場合、ドライアイが疑われます。
涙の量を調べる検査で、目盛りのついた専用の試験紙を下まぶたの端に5分間挿入します。試験紙が涙で濡れた長さで、涙の量を測ります。涙の量が5mm以下の場合、ドライアイが疑われます。
ドライアイには、専門的な治療が効果的です。主な治療には点眼液によるものと、涙点閉鎖による治療があります
従来は、水分を補給し、傷ついた角膜を修復するタイプの目薬が使用されていました。最近では、研究が進み、涙の各成分に直接はたらきかけるタイプの目薬が開発されてきています。ドライアイ患者様ごとの涙のタイプに応じて、正常に機能していない涙の層をターゲットとした層別治療が可能になってきました。そのためドライアイ治療の点眼は数種類に分類できます。
※涙は「水分」「ムチン」「油」などの物質によって構成されており、全てのバランスの良い涙が質の良い涙といわれています。ムチンや油は水分を目の表面にとどまらせるなどのはたらきを担っています。
点眼液で効果が得られない場合は、涙点閉鎖による治療を行います。涙の排出口である涙点を閉じ、涙の流出を抑えて涙を目の表面に十分にためる方法です。涙点にシリコンや合成樹脂製の涙点プラグを挿入します。また、涙点閉鎖の治療には、涙点を縫い合わせる涙点閉鎖術もあります。